近年では、核家族化などの影響によって、家族葬などの小規模なものを選ぶ方が増えてきています。また、予算の都合上、シンプルなお葬式を選ぶ人も多いでしょう。
この記事では、シンプルなお葬式を検討しているという方のために、どんな種類のお葬式があるのか、お葬式の流れなども合わせて解説していきます。
シンプルなお葬式の種類
コロナ前まで主流であった「一般葬」では、亡くなった翌日の夜に通夜式、2日目の昼間に葬儀・告別式を執り行うのが一般的です。参列する人は家族以外にも、友人・知人、近所の親しい人や仕事関係者など、数十人から多い場合は100人を超す規模で行われることもあります。
これに対して、現在主流となっているシンプルなお葬式はどのように異なるのでしょうか。
シンプルなお葬式には4つの種類があるので、それぞれの特徴を順に見ていきましょう。
直葬
「直葬(ちょくそう)」は、通夜式や告別式を行わず火葬だけを行うもので、「火葬式」とも呼ばれます。祭壇や花を飾ることはせず、火葬場で最後のお別れをする形になります。参列者は10人にも満たない規模の限られた親族のみで行われる、もっともシンプルなお葬式です。
直葬は、故人が一人暮らしで身寄りがない場合や、親戚がいても遠方に住んでいたり疎遠である場合、また、遺族が被災しているなどの事情で一般葬を行うのが難しい場合に選ばれることが多かったのですが、近年では終活で自分のお葬式を最もシンプルに行いたいと考える人が直葬を選ぶケースも増えているようです。
一日葬
「一日葬」は、通夜式を省き、葬儀・告別式と火葬を一日で行うものです。お葬式を一日で終えることができるので、遺族の精神的・体力的負担は半減し、仕事を休むのも一日だけで済みます。一般の人も参列することができ、参列者の数や範囲に制限はありません。
また、一日葬では一般葬と同様に祭壇を設置し、花や遺影を飾りますが、葬儀社の一日葬のプランには祭壇や仏具、供花などが含まれておらず別料金になることもあるので、プランを検討する際には確認が必要です。
自宅葬
「自宅葬」は、ご遺体の安置から出棺までをすべて故人の自宅で行うものです。会場が自宅であるというだけで、通夜式から葬儀・告別式、精進落としまで行い、内容は基本的に一般葬と同じです。
ただし、斎場などで執り行う場合よりも祭壇や供花などの飾りは小さめにしつらえることが多く、故人の好きだった曲を流したり思い出の品を飾り、温かい雰囲気を演出できます。
プライベートな空間で周囲の目を気にすることもなく、住み慣れた自宅でゆっくりお別れができるお葬式になります。
家族葬
「家族葬」は、参列者を家族中心とした親しい人に限定して行うもので、一般葬よりも規模が小さく、コンパクトなお葬式にしたい人に選ばれています。参列者がごく親しい人だけで行われるため、地域の慣習などのルールに縛られることなく、自由に故人らしい葬儀を行うことも可能です。
家族葬の場合は「一日葬」で行うケースと「二日葬」で行うケースがあり、会場も自宅で行うか斎場などを借りて行うかは、喪主や親族の意向などそれぞれの家庭の事情で決めて構いません。
近年ではシンプルなお葬式を選ぶ人が増えている
実は、お葬式の小規模化はコロナ禍のずっと以前、1990年代からすでに始まっていました。核家族化によって徐々に親族の付き合いが希薄になり、都会では近所付き合いが減少するなど、社会構造が変化してきたことが要因です。
さらに、2010年に「終活」という言葉が新語・流行語大賞にノミネートされ世間に認知されたことにより、個人レベルでお葬式について考えられるようになり多様化していきました。
そして近年、新型コロナの影響でお葬式は小規模な家族葬が増え、シンプルなお葬式を選ぶ流れが加速したのです。
シンプルなお葬式が選ばれる理由
このようにシンプルなお葬式が選ばれるようになってきたことには、社会構造の変化や新型コロナの影響以外にも「残された家族に負担をかけたくない」「できるだけシンプルに行いたい」など、お葬式に対する考え方の変化もあります。
また、その他にも3つの大きな理由があるので、具体的に見てみましょう。
金銭的な負担が少ない
シンプルなお葬式が選ばれる理由として多いのは、一般葬と比べて費用が安く済むことです。
冒頭でご紹介した全国調査によると、葬儀費用・飲食費・返礼品を合わせた費用総額の平均は、「一般葬」約240万円、「家族葬」約137万円、「一日葬」約135万円、「直葬(火葬式)」約80万円となっていて、シンプルなお葬式は一般葬より100万円以上も安くなっています。
ただし、「一般葬」をある程度の規模で行うと会葬者からの香典が見込め、葬儀費用の一部を香典でまかなえますが、参列者を限定して規模の小さい葬儀を行うと香典が少ないため、むしろ「一般葬」よりも実質的な費用の負担が大きくなってしまうこともあるという点を知っておかなければなりません。
故人と向き合える時間が多い
多くの参列者が訪れる一般的なお葬式では、遺族は非常に慌ただしい中ですべての手配と段取りをこなさなければならならず、故人とゆっくり向き合える時間はほとんどありません。
しかし、お葬式を一日に短縮したり、参列者を少なくして規模を小さくすれば、参列者への対応などに追われることが少なくなり、故人と向き合う余裕も持てるでしょう。
また、「家族葬」では形式にとらわれないお葬式も可能ですから、故人とゆっくりお別れができるように余裕を持ったプランを立てられるのです。
準備にかかる時間や手間を軽減できる
一般的なお葬式では、決めなければならないことや手配しなくてはならないことなどが多く、遺族は心身ともに疲れ切ってしまいます。
ですが、「通夜式」を省き「葬儀・告別式」を一日で行えば、遺族の精神的・体力的負担は大きく軽減できますし、さらには、「通夜」を省くことでそれに伴う「通夜振る舞い」の用意をする必要もなく、遠方から訪れる親族は日帰りで済みますから宿泊の準備も必要ありません。
また、参列者の人数を少なくすれば、弔問客の対応や返礼品の用意をする手間も大幅に軽減できます。
シンプルなお葬式にする際の注意点
先ほど紹介したように、金銭的・労力的な負担軽減などいくつものメリットがあり、多くの人に選ばれるようになってきているシンプルなお葬式ですが、当然デメリットもあります。安易に考えてシンプルなお葬式を選んで後悔したという声もあるので、どのようなデメリットがあるのかも見ておきましょう。
葬儀後に対応に追われる可能性もある
シンプルなお葬式の中でも特に「直葬」や「家族葬」は参列者がごく親しい人のみになります。そのため、葬儀に参列できなかった近所の人や仕事関係の人がひっきりなしに訪れて、弔問客への個別の対応に追われて困ったということも多いです。
故人とのお別れやお参りを望む人は思った以上にいるかもしれないので、葬儀の規模を決める際には、葬儀後の対応が必要になりそうかどうかも考慮したほうが良いでしょう。
親族から理解してもらえない場合も
シンプルなお葬式は比較的新しく登場した現代的なスタイルです。そのため、昔ながらのお葬式が当たり前と思っている親族からは理解されないことがあります。お葬式を小規模で簡素に行うことが故人の遺志であるとしても、親族や周囲の人から非難を受けたり、そのことが原因で付き合いが途絶えてしまう場合もあるでしょう。
どのようなお葬式にするかについては家族の中でも意外にそれぞれに意見が異なって揉めることも多々あるので、費用が安いから、簡単に済ませたいからという理由だけで決めず、故人を取り巻く状況をしっかり考えて、適切なお葬式を選ぶようにしてください。
シンプルなお葬式の流れ
ここで、仏式で行われるお葬式の種類別に流れを見ていきましょう。これまで主流であった「一般葬」では下図のような流れになっています。
「通夜振る舞い」と「精進落とし」は、通夜や葬儀に参列された方などをもてなす目的で料理を振る舞うもので、本来は会食形式で行われます。
「初七日法要」は本来、亡くなった日から数えて七日目に行うものですが、近年では「繰り上げ初七日法要」や「繰り込み初七日法要」として葬儀と同日に行うことが増えています。
「繰り上げ初七日法要」は、図のように「収骨」を終えてから遺骨と供に再び斎場に戻り、僧侶に法要を行ってもらう形です。
それではシンプルなお葬式の流れは、この一般葬と比べてどこが異なるのか、図も参考にしながら見ていきましょう。
直葬
直葬は、「通夜式」や「葬儀・告別式」を省略し、「火葬」だけを行うものです。人が亡くなったときは、死亡後24時間を経過してからでないと火葬をしてはいけないという決まりがあるため、死後24時間は安置をした後、荼毘に付されます。
「通夜式」が省略されるので、それに伴い「通夜振る舞い」も行いません。また、最小限の参列者で行われるケースが多いため、「精進落とし」も行わないことがほとんどです。僧侶に読経を依頼する場合は、火葬をする前に炉前法要として行います。
一日葬
一日葬は、「通夜式」とそれに伴う「通夜振る舞い」を省略し、「葬儀・告別式」と「火葬」を一日で行うものです。一日葬では簡素化のために「精進落とし」を省略するケースもありますが、行う場合は時短のために「火葬」をしている間に行うことも多くなっています。
また、近年では会食形式ではなく僧侶や参列者には折り詰めの寿司などを持って帰ってもらったり、親族など少人数の場合は外食をするなど、簡易的に済ませることが多くなっているようです。
自宅葬
自宅葬は、斎場やセレモニーホールなどを使用せず故人の自宅で行うものです。会場が自宅であるというだけで、基本的には「通夜式」や「葬儀・告別式」などは一般葬と同じ流れになります。
参列者の人数は自宅の広さにもよりますし、故人や遺族の意向で決めて構いません。
「初七日法要」は、「繰り上げ初七日法要」として収骨後に行われるケースと、「繰り込み初七日法要」として葬儀・告別式と合わせて行うケースがあり、「繰り込み初七日法要」で行う場合は「告別式」に引き続いて行います。
「初七日法要」をどのように行うかは、その時の状況に合わせて葬儀社や僧侶と相談して決めると良いでしょう。
家族葬
家族葬では、「一日葬」にするケースと「二日葬」にするケースがあります。「一日葬」の場合は「通夜式」とそれに伴う「通夜振る舞い」を省略します。「二日葬」の場合は「通夜式」を行いますが、参列者が少人数になるので「通夜振る舞い」は行っても省略しても良いでしょう。
「精進落とし」は「火葬」を行っている間に済ませたり、最後に行っても構いませんし、形態も折り詰めの寿司を配る形でも、家族で外食に行く形でも、自由に決められます。
「初七日法要」は、「繰り込み初七日法要」か「繰り上げ初七日法要」のどちらでも、家族の都合に合わせて設定して構いません。
シンプルなお葬式に対応してくれる葬儀社を紹介
ここまで解説したように、近年シンプルなお葬式が多く選ばれるようになったことで、葬儀社各社でもそういった要望に対応するプランがいくつも用意されるようになりました。そこで、シンプルなお葬式に対応してくれる代表的な葬儀社を8つピックアップして紹介していくので、お葬式を検討するにあたってぜひ参考にしてください。
小さなお葬式
引用:小さなお葬式公式サイト
「小さなお葬式」は、小規模でシンプルなお葬式に特化した葬儀社として高い知名度を誇っている葬儀仲介会社です。
提携している全国の葬儀社・式場の中から希望する地域の葬儀社を紹介する形態となっていて、現場の対応や葬儀の施行は地元の葬儀社に委託されるため、対応の善し悪しは紹介先の葬儀社によってややバラつきがあるようです。
全国一律の料金設定となっていますが、基本プランの葬儀内容は必要最低限となっているため、オプションを追加したり参列者が多い場合には、その分の追加費用がかかります。
東京葬儀
引用:東京葬儀公式サイト
「東京葬儀」は、その名のとおり東京を中心としたエリアに対応している葬儀専門業者で、仲介ではなく自社社員が葬儀を担当するため、サービスや対応にムラがないのが特徴です。
葬儀は一日一家族限定で行われ、希望する演出を葬儀プランナーが個別にしてくれるなど細やかで丁寧な対応が人気です。家族葬などで故人らしさを演出した個性的なお葬式をしたい人には、満足度の高いサービスが期待できそうです。
料金についてはあらかじめ最大でかかる金額を提示してくれるので、追加費用を心配する必要がありません。
よりそうお葬式
引用:よりそうお葬式公式サイト
「よりそうお葬式」は、全国対応の葬儀仲介会社です。葬儀に必要なものだけを揃えた小規模葬儀に特化していて、会員になることで割引制度が利用できるので、必要最低限のシンプルなお葬式を検討していて葬儀費用を抑えたい人に選ばれているようです。
仲介会社であるため実際に葬儀を行う葬儀社によって対応に多少バラつきもあるようですが、万が一満足できなかった場合には「葬儀プラン代金返金保証」があるのも安心です。
やさしいお葬式
引用:やさしいお葬式公式サイト
「やさしいお葬式」は、全国の葬儀に対応している葬儀仲介会社です。不要なコストを排除した適正価格でのセットプランを提供しているのが特徴で、必要最低限の簡素な葬儀を行いたい人に選ばれています。
シンプルでも心残りのないお葬式をモットーとし、低価格プランでも一級葬祭ディレクターが監修しています。ただし、仲介会社であるため、実際の対応は紹介先の葬儀会社です。
基本料金は低価格ですが、地域の事情や火葬場の空き状況、オプションの追加などによって費用が上乗せされることがあるようです。
イオンのお葬式
引用:イオンのお葬式公式サイト
「イオンのお葬式」は、流通大手イオンの子会社イオンライフが運営している葬儀仲介会社です。自らは集客と受注に特化し、注文後の対応や葬儀の施行は全国の特約店に委託しています。
独自の葬儀サービス品質基準を設け、研修を受け認定された特約店が葬儀を行っていますが、マニュアル対応で、きめ細かいサービスは期待できないとの声もあります。パッケージ化された6つのプランは分かりやすく、直葬・一日葬・家族葬にも対応しています。
日比谷花壇のお葬式
「日比谷花壇のお葬式」は、花卉小売業も手がけている「日比谷花壇」が葬儀事業を行っています。花祭壇だけでも20プランを揃え定評があるので、花に思い入れのある人には最適です。
小規模なお葬式から大規模なお別れ会まで、さまざまなスタイルの葬儀に幅広く対応できるのが特徴で、手厚いサービスと高品質な品物を使用して理想の葬儀を追求できます。
ただし、サービスや取り扱っている品物が高品質な分、費用は低価格とはいえません。費用を抑えたいという人には向いていないでしょう。
葬儀会館ティア
引用:葬儀会館ティア公式サイト
「葬儀会館ティア」は、人の心に寄り添える"人財"育成をしているのが特徴で、サービス品質が良く、心のこもったお葬式を行える葬儀専門会社となっていますす。対応エリアは東京・神奈川・千葉・埼玉・茨城・愛知・岐阜・三重・大阪・和歌山となっていますが、エリア内でも市町村によっては対応していない地域もあるようです。
火葬式や家族葬などの小規模なセットプランもあり、独自の会員システムに生前入会することで通常価格より割引されますが、家族葬でも思ったより費用がかかったという声もあります。
雅葬会
「雅葬会」は、神奈川・東京23区・多摩地域に特化した葬儀専門会社です。小規模な家族葬を得意としており、地元の慣習などを熟知しているという地域密着ならではの安心感があります。
経験や知識が豊富な「厚生労働省認定1級葬祭ディレクター」が在籍していて、葬儀は自社社員が一貫してサポートするため、相談から葬儀の実施、アフターフォローまで、きめ細かで丁寧な対応が特徴です。
花や遺影、祭壇、食事や返礼品などの質にはこだわりが感じられ、地域の関連業者と連携することで低価格を実現しています。
お葬式のお悩みは「雅葬会」へご相談ください
現在では、これまで主流であった「一般葬」が減少し、小規模でシンプルに行える「家族葬」が半数を占めるようになっているのには驚きですね。
また、お葬式は簡素化だけでなく多様化もしてきています。
葬儀社にどんどん相談することで、それぞれの意向や家庭の事情を反映した多様なスタイルのお葬式を実現できますから、葬儀の検討をする際には家族だけで考えるのではなく、葬儀社をもっと活用していきましょう。
「雅葬会(みやびそうかい)」は事前相談や終活カウンセリングも行っています。生前から葬儀社に相談することで、故人やご家族の状況に最適で後悔のないプランを作り上げていくことも可能なので、ぜひ一度「雅葬会」に相談してみてください。