弔電とは、お通夜や葬儀・告別式に参列できない時などに電報を利用して、故人やご遺族にお悔やみの気持ちを伝えることです。
近年では家族葬が増え、故人を見送りたくてもお葬式に参列できないケースが多くなってきています。
そこで今回は、弔電の送り方や、弔電を送る際のマナーや文例をまとめてご紹介します。
この記事を参考に、突然の訃報にもきちんと対応し、気持ちのこもった弔電を送れるようにしておきましょう。
葬式に弔電を送るタイミングは?
基本的には通夜にお届けするように手配しますが、通夜が故人の自宅で行われる際は、自宅に直接弔電を送ります。その場合、遺族が通夜の準備で忙しいことを考慮し、通夜の直前に届かないように配慮しましょう。
弔電のお届けが通夜に間に合わない場合は、葬儀や告別式の前に届くように送るのがマナーです。
どんなに遅くとも葬儀の開始時刻には間に合わせなければならないので、訃報を受けたもののお通夜や葬儀・告別式のいずれにも参列できない場合は、すぐに弔電の手配を始めてください。
弔電を送るには、以下の情報が必要になります。
- 喪主のフルネーム
- 喪主と故人の続柄
- 通夜・葬儀・告別式会場の場所と日時
訃報を受けたら、落ち着いてこれらをチェックしましょう。
弔電の送り方や手配について
弔電の手配は、早く送りたい場合はNTT西日本を利用し、時間に余裕がある時は比較的安価なインターネット電報サービスを利用するのがおすすめです。
電話で申し込む場合は、局番なしのダイヤル「115」でNTT西日本に電報を申し込みます。
弔電の受付時間は午前8時から午後7時まで。この間に申し込めば、当日中に全国へ配達されます。
NTTの電報申し込みサイトD-MAILなら、インターネット環境が整っていれば、パソコンからでもスマートフォンからでも、24時間いつでも申し込みが可能です。
弔電はいつまでに送ればいい?
届けられた弔電は告別式で読み上げられるため、その準備が間に合うように遅くとも告別式の3時間前までには届くよう手配するのがマナーです。
お通夜に届いていれば大丈夫ですが、葬儀当日は会場設営のため、関係者が時間も惜しんで忙しく動いています。
そんな中でギリギリに弔電が届いたのでは、かえって迷惑になりかねません。
葬儀が終わってしまってからの弔電のお届けはマナーに反するので、もし葬儀開始前までに届けられないのであれば、弔電を打つのは控えましょう。
弔電を申し込みしてから届く時間は?
業者によって、弔電の申し込みからお届けまでにかかる時間は違ってきますが、最短で当日の3~4時間後にお届け可能というところもあります。
当日配達が可能な受付時間は業者によって異なるので、しっかりと確認して選びましょう。
また、当日配達の受付時間を19時までとしている業者もありますが、その場合はお届けが夜遅い時間帯になってしまうということがあります。ご遺族や会場関係者が不在となっていること考えられるので、時間や状況をふまえて手配するようにしましょう。
弔電の文例
弔電ではお悔やみのメッセージを考える際に、まず故人となった原因など、相手先の状況を考慮する必要があります。
相手の事情に立ち入った内容や奇をてらった文章は控え、ある程度畏まった文面で、逝去を知った驚きや不幸を悼む気持ちを表し、ご遺族の気持ちを慰め励ます言葉を添えましょう。
そのほか、
- 葬儀に参列できなかったことへのお詫び
- 同封した香典をご霊前に供えていただくお願い
- 故人の死を悼み、冥福をお祈りする言葉
などを加えて、短い中にも心のこもった弔文になるようにしましょう。
ここからは一般的な弔文の文例をご紹介していきますので、参考にしてください。
家族あての文例
家族あての文例をいくつかご紹介します。
【文例1】
お父様がご逝去されたとの報に接し、お悔やみを申し上げます。
突然のことに驚いて心の整理がつかない状態です。
お父様が安らかに永眠されますよう、心よりお祈りいたします。
【文例2】
ご主人様(もしくはご令室様)のご急逝の報に接し、大変驚いております。
謹んでお悔やみを申し上げるとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
【文例3】
ご子息様(もしくはお嬢様)の急逝の報に接し、悲しみにたえません。
前途洋々たる時に突然他界され、ご両親様のお悲しみ、ご無念のお気持ちは、いかばかりかとお察し申しあげます。
会社や取引先あての例文
会社や取引先あての例文をご紹介します。
【文例1】
〇〇様のご逝去の報に接し、当社社員一同、心よりのお悔やみを申し上げます。
これまでのご功労に感謝の意を表すると同時に、ご冥福をお祈りいたします。
【文例2】
社長様のご訃報に、当社社員一同、謹んで哀悼の意を表します。
ご遺族の皆様ならびに社員ご一同様に、心からお悔やみ申しあげます。
【文例3】
貴社◯◯様ご急逝の報に接し、ご冥福をお祈り申し上げます。
ここに哀悼の意を表し、生前頂きましたご厚情に心より感謝いたします。
弔電を送るときの基本的マナー
弔電を送る上で、知っておきたいマナーがいくつかあります。
マナーについて知ることは、先方への配慮にも繋がるので、きちんと覚えておきましょう。
まずは受け取られた方に、差出人や故人との関係性が伝わりやすいように、氏名とともに所属する会社名や部署、肩書なども明記してください。
さらに加えて住所なども記載しておくと、遺族の方がお礼状を出す際に困ることもありません。
その他にも気を付けたいポイントがありますので、ここで弔電を送るときに注意することについてまとめて解説していきます。
早すぎる弔電の手配は避ける
葬儀や告別式の開始時刻が遅い場合、午前中は関係者がまだ斎場に到着しておらず、電報を受け取ってもらえないこともあります。
また、弔電が斎場に届くのが早すぎるのも、葬儀の準備で忙しくしている遺族や斎場の迷惑になりかねません。それを踏まえると、葬儀・告別式の開始時刻の数時間前に届くように手配するのが望ましいと言えます。
弔電が届かなかったり受け取ってもらえなかったりするのを防ぐためにも、葬儀の日時はきちんと正確に把握してから手配しましょう。
忌み言葉を送らない
弔電には「忌み言葉」という弔文に使用してはいけない言葉があります。
例えば、「重ね重ね」や「度々(たびたび)」「益々(ますます)」などの重ね言葉や、「また」「再び」「追って」など、繰り返しを意味する言葉は、不幸が繰り返すことを連想させるので忌み言葉とされています。また、追伸なども記載しません。
これらに加えて「四」や「九」なども死や苦労を連想させるので、使わないよう注意してください。
その他にも「死んでしまった」「死去」といった直接的な表現も避けて「ご逝去」や「永眠」「他界」などといった言葉に言い換えましょう。
弔電を送ってはいけないケースもあるので注意
近年では、故人・遺族の意向や新型コロナウイルス感染対策として、家族葬を選択されるケースが多くなってきています。
家族や親しい親族のみで葬儀・告別式を執り行う場合は、会葬や香典などを辞退する旨の案内があるほか、弔電についても同様に辞退されることがあります。
故人を偲び「どうしてもお悔やみの気持ちを伝えたい」と考える方もいますが、弔電不要とされている場合、遺族の気持ちを尊重して弔電は送付しないほうがよいでしょう。
故人の名前は敬称で表す
敬称とは、相手への敬意を示す言葉です。
弔電の場合は独特の敬称が使われることがあります。
たとえば、故人が喪主の父にあたる場合「ご尊父さま(ごそんぷさま)」、故人が喪主の母にあたる場合「ご母堂さま(ごぼどうさま)」というふうに、故人と喪主との続柄で、使用する敬称が異なるので、間違わないように気を付けましょう。
弔電を手配する際、宛名は喪主宛にし、喪主が誰か分からない場合は、「故○○○様御遺族様」とします。
また、弔文は故人宛に送るものではありませんので、注意してください。
弔電が間に合わないときは?
弔電は、告別式の開始までに届くことが大切ですが、どうしても告別式の前に弔電が届けられない場合は、別の方法で対処しましょう。
たとえ遅れるとしても「送らないよりは送った方が良い」なんてことは、弔電に関しては当てはまらないので注意が必要です。
もし弔電を送ることができなかった場合は、後日改めて弔問されるか、香典を手紙と一緒に郵送することもできます。
その際には葬儀に参列できなかった旨と弔電が間に合わなかったお詫びを伝えることで、先方も理解して下さるでしょう。
まとめ
弔電は、突然の訃報を受けて、急いで手配するものです。
社会人であれば、取引先に弔電を打つように頼まれることもあるかもしれません。
慣れない方は不安に感じるかもしれませんが、弔電を利用する際は遺族に失礼がないように送るタイミングや弔文のマナーに配慮する必要があります。
弔電は葬儀・告別式の中で読み上げられるのが一般的ですが、失礼のないように注意点やマナーなどをきっちり頭に入れておき、いざという時は心をこめた弔文を送りましょう。