故人と最期のお別れをするために行われるお葬式。正しい作法を把握しておかないと、故人や遺族に失礼にあたる場合があります。また、弔事の場にふさわしくない素材や装飾品は避けなければなりません。しかし、自分では合っていると思っていても、意外と正しい作法を知らない方が多いです。今回は、お葬式の正しい作法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
参列者と遺族のお葬式での礼儀作法
お葬式に参列する際は、遺族や故人に対して失礼にあたらないようにさまざまな礼儀作法を身に着けておく必要があります。遺族は家族を亡くしているため気分が落ちていますし、お葬式の準備や参列者の相手で疲れていることを頭に置いておきましょう。
また、ビジネスシーンでは、会社の代表としてお葬式に参列する場合もあります。お葬式でマナーが守れていないと信用にかかわるケースもあるので注意が必要です。故人を安らかに送り出すためにも、礼儀作法をしっかりと身に着けておきましょう。
お葬式の流れと作法をご紹介
ここからは、お葬式の流れと作法について紹介します。お葬式の礼儀作法を学ぶためにも、お葬式の流れをしっかりと把握しておきましょう。また、お葬式に参列する際には、避けるべき行動や使ってはいけない言葉などがあります。
それらを使用すると遺族や故人に迷惑となる可能性があるので、しっかりとマナーを守って弔意を伝えましょう。また、お葬式はあくまでも故人を送るための式です。久しぶりに会った人と楽しく話す場所ではないので、話す声の大きさにも注意してください。なお、お葬式の流れは葬儀形式や宗派によって異なる場合があります。
受付
受付では、お悔やみを述べて香典を渡します。このとき、「この度はご愁傷さまです」や「この度はお悔やみ申し上げます」など遺族を気遣うひとことを述べるのがマナーです。なお、遺族への挨拶に使う言葉は、宗教・宗派によって異なります。
キリスト教では「死」は悪いものではないとされているので、「安らかなお眠りをお祈りします」と挨拶する場合が多いです。また、遺族に対して故人の死亡理由を尋ねるのはマナー違反です。死亡理由が気になったとしても、遺族から説明があるまでは直接尋ねないでください。
ご焼香
お葬式では、心と体の穢れを取り除いて清浄な心でお参りするために焼香を行います。まず、焼香台の少し手前で止まって遺族と僧侶に一礼します。その後、焼香台の前に進んで再び一礼してください。次に、数珠を左手にかけたら右手で抹香をつまんで額に押しいただきます。押しいただいたら抹香を静かに香炉の上にくべましょう。合掌をしたら少し下がって遺族に一礼し、すみやかに自分の席に戻ります。なお、焼香の作法や回数は宗教や宗派によって異なる場合があります。
神式の場合は玉串奉奠
神式のお葬式の場合は、焼香の代わりに玉串奉奠を行います。まず、自分の順番が来たら祭壇まで進み、遺族に対して一礼します。その後、神官の前に進んで一礼し、両手で玉串を受け取ります。玉串を受け取るときは、右手を根元を上から包むようにし、左手は枝先を下から添えるようにしてください。
玉串を受け取ったら玉串案まで進んで祭壇に向けて一礼します。一礼をしたら、右手で持っている根元を手前にして玉串を縦にし、根元を左手に持ち替えます。根元が祭壇に向くように右回りに半回転させたら、根元を祭壇に向けて静かに玉串案に置いてください。
その後、2~3歩後ろに下がり、二礼してから音を立てないように柏手を2回行います。最後に再び一礼したら神官と遺族に礼をして自分の席に戻ります。
出棺
お葬式に参列する場合は、基本的に出棺まで見送るのがマナーです。そのため、閉式の挨拶が終わったら会場の外で出棺のときまで静かに待機しましょう。その後、霊柩車が動き出したら合掌して頭を下げて故人を見送ります。見送ったら静かに退出してください。
なお、寒い季節でも出棺時でもコートやその他の上着は脱いでおくのがマナーです。出棺を待っている間は着用していても問題ありませんが、出棺時はできるだけコートを脱いでください。また、出棺時に雨が降っているときは傘をしてもかまいません。しかし、傘も黒や紺色など地味な色のものを使用してください。
火葬
出棺した後には火葬が行われます。しかし、火葬場に同行する人数は限られているので、勝手に同行するのはマナー違反です。基本的に、喪主をはじめとした近親者のみで行われる場合が多い傾向にあります。そのため、故人の友人や知人の立場の場合は、喪主に依頼されたときのみ同行してください。
また、先頭を走る霊柩車には喪主や葬儀の担当者が乗ります。さらに、霊柩車に続くタクシーには僧侶や家族が乗るので、友人や知人が同行する場合は家族が最後に乗車してください。
精進落とし
通夜の後の通夜振る舞いや精進落としは、遺族から勧められた場合のみ出席しましょう。また、遺族からの誘いを受けた場合はできる限り出席してください。途中で退席するのは問題ないので、用事があって途中退席する場合は遺族に「お先に失礼します」と声をかけてから帰りましょう。なお、通夜振る舞いや精進落としは宴会ではないので、あまり大声は出さないようにしてください。大声で騒いだりお酒を飲みすぎたりするのはマナー違反です。
服装のマナー
ここからは、お葬式に参列する際に注意すべき服装のマナーを解説します。お葬式に参列する場合は、服装に関するマナーにも気を付けなければなりません。なるべく肌の露出がないような、故人と最期の別れをする大切な儀式にふさわしい服装を揃えてください。また、葬儀形式によってふさわしい服装が異なる場合があるので注意が必要です。
喪服には格式がある
喪服には、正喪服・準喪服・略式(略喪服)の3つの格式があります。正喪服はもっとも格式が高い喪服です。喪主や親族などのお葬式を主催する側の人は、基本的に正喪服を着用してください。
また、準喪服は一般的な喪服であり、喪主や親族以外の一般参列者が着用します。略喪服は、お通夜や急な弔問の際に着用する場合が多い喪服です。なお、急な弔問の際は、故人の死を予期して事前に準備していたという印象を避けるためにも略喪服を着用しましょう。
弔事の場にふさわしくない素材や装飾品は避ける
弔事の場にふさわしくない素材や装飾品は避けましょう。特に、殺生を連想させる毛皮や革製品・光沢のある素材はマナー違反です。
また、女性の場合はヒールの高さにも注意してください。3~5㎝程度のものが一般的なので、あまりにも高すぎるヒールは避けましょう。派手な飾りのあるパンプスもふさわしくありません。できるだけシンプルなデザインの布製のパンプスを合わせてください。
なお、ブラックフォーマルバッグだけだと手荷物がいっぱいになる場合があるので、サブバックを持っておくのがおすすめです。
アクセサリーについて
お葬式に参列する場合は、身に着けるアクセサリーのマナーも把握しておきましょう。基本的に、葬儀に参列する際は結婚指輪以外のアクセサリーをつけないのがマナーです。アクセサリーを身に付けるなら、白か黒のパールのネックレス・イヤリング・ピアスを選んでください。
なお、2連や3連のネックレスは不幸を重ねるという意味につながるので、白か黒のパールのネックレスを身に着けるときは、2連や3連ではなく1連のものを選んでください。
さらに、まとめ髪にするときのヘアアクセサリーも黒で統一してください。派手なものやきらびやかなリボンのついているものはふさわしくないので、黒のヘアゴムやバレッタを使用しましょう。
清潔感を大切にする
お葬式に参列する際は、清潔感のある服装や身だしなみを心がけてください。メイクはナチュラルメイクが一番ふさわしいです。アイメイクやチークが濃くならないように注意してください。また、ラメの入ったアイメイクは派手と取られる場合があるので避けましょう。なお、ノーメークは逆に失礼にあたるので、最低限のメイクは施してください。
さらに、ロングヘアの方は焼香や一礼の際に邪魔になりやすいので、後頭部の低い位置でまとめておくと良いです。
男性の場合は、必ず髭をきれいに剃って参列するのがマナーです。無精髭はNGなので注意してください。
葬儀のお悩みは「雅葬会」へご相談ください
今回は、お葬式の正しい作法について解説しました。遺族への挨拶に使う言葉や焼香の作法は宗教・宗派によって異なる場合があります。また。喪服には、正喪服・準喪服・略式の3つの格式があるので、故人との関係や状況に応じて適切なものを選んでください。
なお、葬儀に参列する際は清潔感を大切にしましょう。長い髪をそのままにしていたり、無精髭のまま参列したりすると、マナーがなってないと思われてしまいます。作法や服装のマナーには注意しましょう。
雅葬会には、高度な葬祭知識を持ったプロが在籍しているので、葬儀のマナーに関するお悩みもご相談いただけます。