現在、時代の流れやライフスタイルの変化によって葬儀の形式も多様になってきました。
葬儀の規模が変わることで、当然、かかる費用も変わっていきます。
お葬式というのは、故人にとっても遺族にとっても大切な儀式。当日になって費用のことで迷ったり慌てたりすることが無いよう、事前に価格帯を把握しておくことが大事です。
ここでは、直葬、一般的な葬儀、家族葬にかかる平均的な費用から、参列の際の香典の金額までまとめて解説いたします。
直葬のメリットは?費用はどれくらい安い?
直葬というのは、通夜や告別式などを行わず故人の近親者で火葬のみを行う形式の葬儀です。火葬場で簡易的な葬儀を行うため、火葬式と呼ばれることもあります。
最近では、直葬を選ぶ方が増えている傾向にあるようです。
祭壇や花も飾らず基本的には会葬者も招かないため、シンプルで小規模なお葬式と言えます。
よく言われる「密葬」や「家族葬」では通常行われる通夜や告別式を行うため、それとは全く違った形になります。
直葬のメリット・デメリット
直葬の最も大きなメリットは低価格で行える点です。様々な儀式を省略し最小限に抑えているため、通常の葬儀の約1/10の費用で抑えられるとも言われています。
儀式を省略することで、時間的に短時間で済むというのも魅力です。
デメリットとしては親類からの反発やご近所の世間体でしょう。
特に古い習慣が残っている地域では、一般的な葬儀も行わずに埋葬するということに対して違和感を持たれてしまう可能性があります。
親族や近親者に理解いただける環境で、コストを重視して葬儀を行いたい場合は直葬が最も適切でしょう。
直葬の葬儀費用
直葬にかかる費用は地域によっても差はありますが、おおよそ25万円前後です。
直葬の費用で注意しなければならないのは、葬儀社が提示している金額内にどこまでのサービスが含まれているのかということです。
通常の直葬プランであれば、役所・火葬場に対する手続きや霊柩車、棺、骨壷、祭壇、焼香、仮位牌などが含まれていることが多いようです。
しかし低価格のものは一部のサービスがオプションになっていることも多く、オプションを追加した結果、平均的な葬儀の金額になってしまうことがあるようです。
直葬を行うときは数社の葬儀会社で見積もりを取ることが必要でしょう。
また、標準で含まれている項目とオプションを明確にした上で、しっかりと検討しなくてはいけません。
一般的な葬儀にかかる費用
一般的な葬儀にかかる費用の総額平均は約150万円ほどと言われています。
内訳は大きく4つに分けられます。
- 葬儀施設(約20万円)
- 葬儀の施行(約50万円〜100万円)
- 寺院の費用(約10万円〜20万円)
- 参列者への費用(約30万円)
1つずつ解説していきます。
1.葬儀施設にかかる費用
葬儀施設にかかる費用は総額で約20万円ほどです。
内容は安置所の使用料であったり、斎場および控室の使用料、火葬場の控室の使用料があります。
大体の目安としては安置所が2万円前後、斎場が20万円前後といったところが相場のようです。
公営ならば火葬場関係の使用料は無料という場合もありますが、民営の場合は5万円から10万円近く費用が発生するパターンもありますので申し込み時には確認が必要です。
2.葬儀の施行にかかる費用
葬儀一式にかかる費用は、内容によって大きく左右されますが大まかに50万円〜100万円ほどの値幅です。
大体の目安として、祭壇が30万円〜100万円、棺が10万円〜20万円、骨壷が1万円、ドライアイスが1万円程度かかります。
その他には寝台車や霊柩車などの車両費および人件費も発生します。
最近では祭壇や棺をそれぞれ選ぶのではなく、まとめてセットとして組み込まれているケースが多いです。
その場合は無駄なプランが無いか、提案された内容をしっかりとチェックすることが必要です。
3.寺院にかかる費用
寺院にかかる費用も地域や宗教によって変動しますが、約10万円〜20万円ほどの値幅です。
主な費用は読経料、戒名料やお車代などです。
一般的に読経料が通夜と初七日で1万円、告別式で5万円、四十九日法要で3万円、戒名が5万円〜10万円と言われています。
4.参列者への費用
参列者への御礼や接待にかかる費用は約30万円ほどです。
内訳は会葬御礼、香典返し、飲食接待費などです。
会葬御礼は通夜・告別式・初七日で500円〜1,000円の粗品と、四十九日では5,000円程度の品物をお配りすることが多いです。
飲食接待費は通夜・告別式・四十九日法要に食事代が約3000円(一人当たり)、ビールやお酒を含めるとおよそ5000円程度の費用がかかります。
家族葬のメリットは?費用はどれぐらいかかる?
直葬と一般的な葬儀との間に、家族葬という葬儀の形態があります。
一般の方には身内だけのささやかな葬儀にすることを伝え、近親者のみで行う葬儀のことを指します。
家族葬のメリットデメリット
家族葬のメリットは、会社関係や近所の方が参列する一般的な葬儀に比べ参列者が少ないため、葬儀費用を安く抑えられる点です。
直葬ほど簡素ではなく、少ない人数でも通常の葬儀と同様の形式で儀式をすることができるので、安さと葬儀の在り方を両立させたい方にはおすすめの形式でしょう。
デメリットとしては、葬儀で呼ばれなかった故人の友人や同僚などの個人的な対応が多くなる傾向がある点です。
「家族葬で」と伝えていても、自宅までお線香をあげに来られたりする方は少なくありません。
葬儀の準備などで忙しいタイミングに不定期で来客があるのは大きな負担になります。
近親者へ家族葬で葬儀を行うことを伝える案内に、ご挨拶はご遠慮する旨を明記するようにしましょう。
家族葬費用の相場
家族葬の葬儀にかかる費用の総額は平均で約96万円です。
これには火葬場使用料、式場使用料なども含まれています。
直葬ほどではありませんが、一般的な葬儀と比べると安価であると言えます。
今更聞けない、香典の金額の目安は?
葬儀に参列する際に持参するお香典の金額。大まかな目安はご存知でしょうか。
冠婚葬祭の中でも、結婚式のご祝儀ほどメジャーではないかもしれません。
一般的には故人との関係性と、年齢によって金額が変わってきます。
ここでは具体的な香典の金額について解説していきたいと思います。
年齢、関係別でわかる!香典の金額の違い
故人との関係と年齢別に金額を一覧表でまとめました。
故人と自身の続柄 | 20代 | 30代 | 40代以上 |
祖父母 | 10,000 | 20,000 | 30,000 |
親 | 30,000 | 50,000 | 100,000 |
兄弟姉妹 | 30,000 | 30,000 | 50,000 |
叔父叔母 | 10,000 | 20,000 | 30,000 |
上記以外の親戚 | 5,000 | 10,000 | 10,000 |
職場関係 | 5,000 | 5,000 | 10,000 |
勤務先社員の家族 | 5,000 | 5,000 | 10,000 |
取引先関係 | 5,000 | 5,000 | 10,000 |
友人・知人 | 5,000 | 5,000 | 10,000 |
隣人・近所 | 5,000 | 5,000 | 10,000 |
その他 | 5,000 | 5,000 | 10,000 |
この表の金額は、あくまで目安ですが最低ラインを示した金額とも言えます。
最近では、香典を辞退される葬儀も多くなってきました。
しかし、まだ香典を持参する習慣はあり、葬儀費用の負担を軽減する相互扶助の役割も担っています。
表の通り、金額は参列者の年代や故人との関わりによって変動しますが、香典を持参する上で大切なことは故人を悼み、遺族の悲しみに寄り添う気持ちを示すことです。
まとめ
葬儀費用を抑えて納得のいく葬儀を行うには、葬儀社選びが大切です。
総額だけで判断するのではなく、内容までしっかりとチェックしましょう。