葬儀ローンとは|利用するメリット・デメリットや注意点を解説

葬儀費用は一般的に、葬儀の当日から1週間程度を期限として「現金の手渡し」や「銀行振込」での一括払いが基本です。しかし、一括での支払いが厳しい場合や、一度に大きな支払いをしたくないという場合もあるでしょう。

そんな方のために、この記事では葬儀ローンについて解説していきます。葬儀費用を抑える方法についても紹介していくので、葬儀の費用でお悩みの方は参考にしてみてください。

葬儀ローンとは

ローンは、信販会社や銀行などの金融機関からお金を借りて、その借入金を分割して月々返済をするものです。用途としては自動車ローンや住宅ローンが有名ですが、葬儀費用にローンを利用することもでき、そのように用途を限定した契約ごとに審査が行われます。

他に分割払いができるものとしてはクレジットカードがありますが、クレジット払いはカード会社が支払いを立て替えて、カード会員の銀行口座から引落される仕組みです。カードが発行される段階で審査を受け、決められた限度額の範囲で、用途を限定せずに利用ができます。

稀に信販会社や銀行を通さずに、葬儀社と施主が直接分割払いの契約を行う場合もあり、このような葬儀費用の分割払いを総称して「葬儀ローン」と呼ぶこともありますが、それぞれ仕組みの違いがあるということを覚えておいてください。

葬儀にかかる費用の目安

葬儀ローンの具体的な話に入る前に、葬儀にはどのくらいの費用がかかるのかを確認しておきましょう。

一般葬

「一般葬」は従来型のお葬式で、逝去の翌日に通夜式、通夜の翌日に葬儀・告別式・火葬を行うものです。「二日葬」とも呼ばれます。参列者は家族以外にも親族や友人・知人、仕事の関係者や近所の人など幅広く、40~50名から多い場合には100名を超す規模で行われることが一般的です。平均総額は約144万円となっていますが、参列者が多くなれば費用も増加します。

家族葬

「家族葬」は、家族を中心とした親族や友人・知人の中で親しい人に参列者を限定して行うお葬式です。参列者の数は10~30名ほどになるのが一般的といえます。総額は約100万円です。

ただし家族葬では、「一日葬」で行うケースと「二日葬」で行うケースがあり、どちらで行うかによって費用は違ってきます。

直葬

「直葬(ちょくそう)」は、通夜式や告別式を行わず火葬だけを行うもので、「火葬式」とも呼ばれます。参列者は近親者のみで、数名~10名程度です。総額は約35万円となっています。

 

棺、搬送費、火葬場利用料は葬儀の規模によって左右されるものではありません。ですが、斎場利用料や祭壇、飲食費や返礼品などは規模によって変動しますので、参列者の人数が少なくなればその分だけ安くなります。

葬儀ローンのメリット・デメリット

ローンは借金をするのと同じことなので、よく知らずにローンを利用すると、思いもよらないトラブルが起こる可能性もあります。葬儀ローンを利用するにあたって、メリットもあればデメリットもありますので、最初にそれらをしっかり認識しておきましょう。では、具体的に見ていきます。

メリット

葬儀費用に限定されるローンの場合には、利用金額の上限が高く設定できる傾向にあり、高額の借り入れが可能な場合が多いようです。そのため、手元にある資金ではできないような華やかな祭壇を選んだり、料理や返礼品のグレードをアップしたりできます。

そして、葬儀費用をローンにして毎月一定額を返済することで、一時的にかかる現金支出の大きな負担を分散できるのが大きなメリットといえるでしょう。

デメリット

ローンでは利息や分割手数料が発生します。そのため、実際の葬儀費用よりも支払い総額が多くなってしまうことがデメリットとなるでしょう。返済期間が長くなればなるほど利息や手数料が増しますので、葬儀ローンを利用する場合はなるべく低金利で借入ができるローンを選ぶことをおすすめします。

また、長期に渡っての毎月の返済が負担にもなる場合もありますので、借入額や月々の支払額、支払期間は無理のない範囲で設定しましょう。

葬儀ローンの種類

ローンにはいくつかの種類があり、信販会社や銀行ごとに金利手数料や設定できる返済回数が異なります。そのため、どの種類のローンを選ぶかによって負担も違ってきますので、それぞれの特徴を知っておくことが大切です。

では、実際にどのような種類があるのかをご紹介しましょう。

信販会社

1つ目は、葬儀社が提携している「信販会社」で行っている分割払いのサービスです。

 

特徴 与信審査が速く、審査基準が緩めである
与信審査 通常1~2時間程度(長くても半日から1日)
金利相場 8~18%
限度額 10~500万円
返済回数 1~84回
利用できる年齢 20~70歳以下(完済時)
保証人 原則不要

 

葬儀社が窓口となって利用できますので、葬儀の打ち合わせの際に分割払いの手続きも進めていけるという利点があります。

銀行

2つめは、銀行が行っている個人向けローンのサービスです。

 

特徴 比較的、長期間の返済回数を選択できる
与信審査 通常5~7日(長くて2週間前後)
金利相場 5~15%
限度額 10~500万円
返済回数 6~120回
利用できる年齢 20~65歳以下(完済時)
保証人 原則不要

 

多くの場合、用途が限定されていない多目的ローンやフリーローンを利用することになるでしょう。借入金額によっては、収入証明や住民票などの書類が必要になります。

労働金庫・信用金庫

3つめは、労働金庫や信用金庫の多目的ローンやフリーローンです。

 

特徴 金利は低めであるが、与信審査が厳しめ
与信審査 通常1週間程度(最短3日前後)
金利相場 2.5~10%
限度額 10~500万円
返済回数 3~184回
利用できる年齢 20~75歳以下(完済時)
保証人 原則不要

 

一部の労働金庫や信用金庫では、葬儀費用に特化したローンサービスを提供しているところもあります。また、銀行と同様に必要書類が多い傾向です。

葬儀ローンを利用する流れ

ここで、ローンを利用する場合の流れをご紹介しておきます。

 

【葬儀社が提携している信販会社を利用する場合】

  • 葬儀社にローンを利用したい旨を伝え、審査申込書に必要事項を記入する
  • 与信審査を受ける
  • 審査を通過できたら、信販会社とローン契約を結ぶ

 

【金融機関のローンを利用する場合】

  • 金融機関の窓口やホームページで、審査申込書に必要事項を記入し申込みをする
  • 必要書類を準備し、提出する
  • 与信審査を受ける
  • 与信審査を通過できたら、金融機関とローン契約を結ぶ

葬儀ローンを利用する際の注意点

ローンを利用する際には、注意すべきポイントがありますので、注意点も合わせて確認しておきましょう。

葬儀ローンやフリーローンは、ある程度収入が安定している人であれば比較的利用しやすいものです。しかし、前述したようにローンは借金することと同じですので、デメリットも含めてしっかりと理解した上で利用してください。特に気をつける点は以下の3つになります。

分割手数料や金利を確認した上で検討する

1つ目は、ローンを組むことによって「金利手数料」や「分割手数料」が発生するという点です。これら利息は分割回数が多くなるほど金額も増していきますので、利息の総額はいくらになるのか、それによって支払総額はいくらになるのかを、しっかり確認しましょう。

また、返済が1回でも滞ると個人信用情報の履歴に登録され、別の融資を受ける際に支障を来たす場合もあります。分割回数を何回にするのか、月々の返済額が無理のない金額なのかをよく検討し、返済を滞らせないようにしましょう。他にも借入がある場合には特に注意が必要です。

葬儀ローンに対応していない葬儀社もある

注意点の2つ目は、葬儀ローンはすべての葬儀社で利用できるわけでなないという点です。信販会社と提携しているかどうかは葬儀社によって異なりますので、ローンを検討している場合には葬儀社に確認をして、ローンで支払いができる葬儀社を選んでください。

もし信販会社との提携がない葬儀社で分割払いを希望するのであれば、クレジットカードの分割払いを利用したり、銀行などの金融機関で別途ローンを申し込んだりするなど、別の方策も検討してみましょう。

ローンの審査が通らなかった場合も想定しておく

3つ目の注意点は、ローンの審査が通らなかった場合も考えておく必要があるという点です。ローンは誰でも利用できるわけではありません。年齢、職業、勤務年数、年収、他の機関での借入状況などを元に、与信審査が行われます。

葬儀社が提携している信販会社のローンでは、葬儀が行われる前に与信審査の結果が分かるので、審査が通らなかった場合でも対応の余地はあります。

しかし、銀行などの金融機関でローンを組む場合には、葬儀が終わって葬儀社への支払い期限が近づいても審査結果が出ていない場合も考えられるのです。審査が通らなかったときに備えて、別の支払い方法も考えておいたほうが良いでしょう。

葬儀ローンの利用がおすすめな人の特徴

葬儀ローンの利用は「どのような人」や「どのような場合」に検討すると良いのか、という点も見ていきましょう。まず、基本的に次のような人はローンの利用がおすすめです。

  • 葬儀費用を一括で支払うことが難しい
  • 手元の現金をなるべく残しておきたい
  • 手元のお金の額以上に費用をかけて葬儀を行いたい

 

また、葬儀費用の負担を軽減する方法としては「いただいた香典を充てる」「故人の遺産から支払う」「親族間で出し合う」という方法が考えられますが、下記のように、それらが難しい場合にはローンの利用を検討すると良いでしょう。

  • 香典を辞退した、または香典がそれほど多く見込めない
  • 故人に遺産がない、または遺産をすぐに引き出せない
  • 頼れる親族がいない、または親族間で出し合うことが難しい

葬儀費用をできるだけ抑えるには?

ローンを利用するにしても、しないにしても、葬儀費用の負担を少しでも軽減できる方策を知っておくことは何かと助けになりますので、ご紹介しておきます。葬儀費用に対しては公的な補助制度や支援制度がありますし、葬儀の執り行い方を変えることでも費用の負担を軽減可能です。

詳しく見ていきましょう。

給付金制度などを利用する

葬儀費用に対する公的な制度としては、以下のようなものがあります。

葬祭扶助制度

故人が生活保護を受けていたなど経済的に困窮していて、且つ葬儀費用をまかなえるだけの資産を残していない、喪主が生活保護を受けるなど経済的に困窮している場合などに、自治体に申請すれば、最低限の葬儀を行うだけの費用を支給してもらえる制度です。

埋葬料

「全国健康保険組合(けんぽ)」や「各種健康保険組合」の加入者(被保険者)が亡くなった場合に、故人の収入で生計を維持していて埋葬を行った人が申請します。給付額は一律5万円となっていますが、組合によっては独自の給付額がさらに付加されることもあるでしょう。

埋葬費

「全国健康保険組合(けんぽ)」や「各種健康保険組合」の加入者(被保険者)が亡くなった場合に、故人の収入で生計を維持していなかった人で実際に埋葬を行った人が申請します。支給されるのは葬儀費用の実費で、5万円が上限です。

葬祭費

「国民健康保険」または「後期高齢者医療費制度」に加入していた方が亡くなって葬儀を行った場合に、加入先の自治体から給付を受けとれます。申請ができるのは喪主などの葬儀を行った人で、給付額は概ね3万~7万円前後です。

生活福祉資金貸付制度

65歳以上の世帯か低所得者の世帯、または障害者世帯の人が申請できる制度です。葬儀費用として利用する場合は最大50万円まで、返済期間は3年以内と定められています。連帯保証人がいる場合は無利子で、いない場合は年利1.5%の低金利で借入が可能です。

市民葬を利用する

葬儀費用を安く抑える方策として「市民葬」を利用するのも一案です。市民葬は、故人または喪主が居住している自治体で提携している「指定葬儀会社」を利用して葬儀を行うものです。

費用相場は、通夜と葬儀・告別式を行った場合で50万円ほど、直葬の場合は20万円ほどとされています。ただし、基本料金に含まれる内容は必要最低限の簡素なものがほとんどです。

オプションを追加して行うこともできますが、その場合にはかえって費用が高くついてしまう可能性があるので、オプションの費用も確認しておきましょう。

規模の小さい葬儀を選ぶ

葬儀にかかる費用の中で、斎場利用料、祭壇、飲食費、返礼品は、参列者の人数を減らすことで安くできます。

人数を限定して行う「家族葬」にすれば小さな斎場で済みますし、その分祭壇も小さくなります。さらに「直葬」では通夜も葬儀・告別式も行わないため、斎場や祭壇も必要ありません。

そして、どちらも少人数で行いますので、もてなしの料理代や返礼品にかかる費用が軽減します。このように、葬儀費用を抑えるには、お葬式の規模を小さくするのも有効な手段となります。

葬儀ローンに対応してくれる葬儀社は?比較して紹介

葬儀費用を分割払いにしたいという要望に応えるために、ローンなどの分割払いにも対応する葬儀社が増えてきています。しかし、対応している支払い方法は葬儀社によって異なります。

最後に代表的な葬儀社8社について、特徴や支払い方法の対応状況をご紹介しますので、葬儀社を選ぶ際の参考にしてください。

小さなお葬式

引用:小さなお葬式公式サイト

「小さなお葬式」は、小規模なお葬式に特化しており、提携している全国の葬儀社の中から希望する地域の葬儀社を紹介する葬儀仲介会社です。

低価格で全国一律の料金設定が特徴ですが、基本プランの内容は必要最低限となっているため、オプションを追加したり参列者が多くなったりすると追加費用がかかります。

対応している支払い方法は、現金(一括)、コンビニ払い(一括)、クレジットカード(一括・分割)、ローン(分割)となっています。

東京葬儀

引用:東京葬儀公式サイト

「東京葬儀」は、首都圏を中心としたエリアに対応している葬儀専門会社で、仲介ではなく自社社員が葬儀を担当するため対応にムラがないのが特徴です。

葬儀は一日一家族限定で行われ、希望する演出を葬儀プランナーが個別にしてくれるので、故人らしさを演出した個性的なお葬式をしたい人には満足度の高いサービスが期待できます。

支払い方法は、現金(一括)、クレジットカード(一括・分割)、ローン(分割)となっています。

よりそうお葬式

引用:よりそうお葬式公式サイト

「よりそうお葬式」は、全国の葬儀に対応している葬儀仲介会社です。小規模なお葬式に特化しているのが特徴で、必要最低限のシンプルなお葬式にして費用を抑えたい人に選ばれています。

実際に葬儀を行う葬儀社によって対応に多少バラツキがあるようですが、万が一満足できなかった場合には返金保証を受けることが可能です。支払い方法は、現金(一括)、コンビニ・銀行・LINE Payでの後払い(一括)、クレジットカード(一括・分割)、ローン(分割)と幅広く対応しています。

やさしいお葬式

引用:やさしいお葬式公式サイト

「やさしいお葬式」は全国対応の葬儀仲介会社で、実際に葬儀を執り行うのは紹介先の葬儀社です。

シンプルでも心残りのないお葬式をモットーとしており、不要なコストを排除した低価格のセットプランを提供しているのが特徴で、必要最低限の簡素なお葬式を行いたい人に適しているといえるでしょう。

支払い方法は基本的に、現金払い(一括)と銀行振込(一括)のみとなっていますが、実際に葬儀を行う葬儀社によっては異なる場合があります。

イオンのお葬式

引用:イオンのお葬式公式サイト

「イオンのお葬式」は、流通大手イオンの子会社イオンライフが運営している葬儀仲介会社です。注文後の対応や葬儀の施行は全国の特約店が行います。直葬、家族葬などの小規模なお葬式にも対応していますが、価格は業界最安値とはいえないのが現状です。

支払い方法は、現金(一括)、分割払い、イオンカード払いとなっており、分割払いを利用する場合は別途契約により最長84回の利用が可能です。

日比谷花壇のお葬式

引用:日比谷花壇のお葬式公式サイト

「日比谷花壇のお葬式」は、花卉小売業を手がけている日比谷花壇が葬儀事業を行っています。小規模なお葬式から大規模なお別れ会まで、さまざまなスタイルの葬儀に対応できるのが特徴です。ただし、サービスや取り扱っている品物が高品質であるため低価格とはいえません。

支払い方法は、現金(一括)、銀行振込(一括)、コンビニ決済(一括)、電子マネー(一括)、クレジットカード(一括・分割)、ローン(分割)と幅広く対応しています。

葬儀会館ティア

引用:葬儀会館ティア公式サイト

「葬儀会館ティア」は、東海地方を中心に近畿や関東の一部エリアで対応している葬儀専門会社です。サービス品質に定評があり、人の心に寄り添える“人財”育成をしているのが特徴です。

小規模な火葬式や家族葬のセットプランもあり、独自の会員システムに生前入会することで通常価格から割引が適用されます。支払い方法は、現金(一括)、銀行振込(一括)、クレジットカード(一括・分割)、ローン(分割)が利用できます。

雅葬会

「雅葬会(みやびそうかい)」は、神奈川、東京23区、多摩地域に特化して対応している葬儀専門会社です。経験や知識が豊富な「厚生労働省認定1級葬祭ディレクター」が在籍していて、相談から葬儀の実施、アフターフォローまで、きめ細かで丁寧な対応が特徴です。

花や遺影、祭壇、食事や返礼品などは厳選したものを使用し、地域の関連業者と連携することで高品質・低価格を実現しています。

対応する支払い方法は、現金(一括)、銀行振込(一括)、クレジットカード(一括・分割)となっています。

葬儀のお悩みは「雅総会」へご相談ください

今回は「葬儀ローン」について解説しました。葬儀ローンは、葬儀社が提携している信販会社や、銀行・信用金庫などの金融機関と契約することで、葬儀費用を分割払いにすることができます。ただし、金利手数料がかかるため支払総額は増えてしまうということを理解しておいてください。

また、葬儀社によってはローンに対応していない場合もありますし、申込みをしても与信審査が通らない可能性もありますので、ローンが組めない場合も想定して別の支払い方法も考えておきましょう。

最後にご紹介した「雅葬会」は、費用をより軽減できる小規模なお葬式を得意としていますので、葬儀費用の負担をなるべく小さくしたいなど費用に関するお悩みがある場合には、ぜひご相談ください。事前相談や終活カウンセリングも行っています。

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