葬式の費用がないときの対処法は?制度や給付金の活用方法を紹介

お葬式にはまとまったお金が必要になるため、支払いなどに不安を感じることもありますね。本記事では、お葬式の「何に」「どれくらい」の費用が必要になるのかを解説し、給付金の活用や支払い方法など「葬儀費用に関する対処法」を紹介します。

まず、葬儀費用の負担を軽減するものとしては「香典」があります。香典は古くから続く相互扶助の仕組みなのです。しかし、それほど多くの香典が見込めない場合もあるでしょう。

そこで、香典以外で考えられる方策をいくつかピックアップして解説するので、葬儀費用の負担軽減に関心がある方はぜひ参考にしてください。

葬式の費用はどのくらいかかる?

お葬式には少なくとも数十万円、多ければ数百万円の費用がかかることもあります。いったい何にいくらかかるのでしょうか。葬儀費用の対処法を考えるには、まず費用の全体像を知ることが大切なので、最初に葬儀費用の「相場」と「内訳」について具体的に確認していきましょう。

費用相場

葬儀関連情報サイトが2013〜2020年に行った全国調査によると、葬儀の種類別で見た費用の総額は以下のようになっています。

  • 「一般葬」約240万円
  • 「家族葬」約137万円
  • 「一日葬」約135万円
  • 「直葬(火葬式)」約80万円

このときの全体の平均総額は約184万円でしたが、さらに2022年に行われた同様の調査では全体の平均総額は約110万円となり、葬儀にかける費用はここ数年でも大きく減少しています。

内訳

葬儀費用の内訳は、大きく分けて次の3つがあります。それぞれの項目を見ていきましょう。

  • 基本料金

基本料金には「棺」「搬送費」「火葬場利用料」などの葬儀の規模に左右されない項目と、「斎場利用料」「祭壇」などの規模に応じて費用が変動する項目があります。

  • 飲食費

飲食費は、僧侶や参列者に振る舞う料理や飲み物代です。これは変動費で、参列者の人数を少なくしたり料理の内容を変更したりすることで、費用が安くなります。

  • 返礼品

返礼品は参列者一人につき一つ用意しますので、参列者の人数が少なくなれば費用も安くなる変動費です。また、これ以外にも僧侶に渡すお布施などがあります。

葬式の費用がないときの対処法は?

お葬式にかける費用は年々減少しているとはいえ、やはりそれなりのまとまった金額になります。では、少しでも負担を軽減できる方法はないのでしょうか。

実は、公的な補助制度を利用したり、支払い方を工夫したりするなど、葬儀費用の負担軽減にはいくつかの方策があります。条件が揃えば、費用をかけずに葬儀を行うことも可能です。詳しく紹介していきます。

葬祭扶助制度を利用する

まず、「葬祭扶助制度」というものがあります。これは、経済的な理由によってお葬式を出すことが困難な場合に、最低限の葬儀費用を自治体が支給するものです。最低限の葬儀とは直葬のことで、祭壇や僧侶の読経はなく、納骨の費用は対象になりません。

法的に決められている支給額の上限は、以下のようになっています。

  • 故人が12歳未満の場合 16万4千円以内
  • 故人が12歳以上の場合 20万6千円以内

自治体によって上限金額が異なる場合がありますが、葬儀費用がこの金額を下回れば、実質0円で直葬が行えることになります。ただし、この制度を利用するには、故人が生活保護を受けていたなど経済的に困窮していて、且つ葬儀費用をまかなえるだけの資産を残していないことが前提です。

そして、以下の場合に限られます。

  • 喪主が生活保護を受けるなどして経済的に困窮している場合
  • 生活保護を受けていた故人の葬儀を、遺族以外の人が行う場合

このような条件で行われることから、葬祭扶助を利用した葬儀は「福祉葬」や「生活保護葬」などと呼ばれています。

給付金を受給する

生活保護受給者でなくても、健康保険組合や国民健康保険に加入していた場合には、給付金を受け取ることができます。それぞれ対応する機関の窓口での申請が必要ですが、公的な給付を受けることで葬儀費用の一部を補うことができるので、ぜひ利用してみてください。

では、どのような場合に、いくら受け取れるのか見てみましょう。

埋葬料

埋葬料は、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」や「各種健康保険組合」の加入者、または被扶養者が亡くなった場合に給付されるものです。給付額は法定給付で一律5万円となっていますが、組合によっては独自の給付額が付加されることもあります。

申請ができるのは喪主など「葬儀を主催し埋葬を行った人」です。故人が加入していた社会保険事務所や健康保険組合に申請することで給付されます。ただし申請期限があり、「故人が逝去した翌日から2年以内」となっています。

葬祭費

葬祭費は、「国民健康保険」または「後期高齢者医療費制度」に加入していた方が亡くなって葬儀を行った場合に、加入先の自治体から給付を受けることができる制度です。給付額は概ね3万~7万円前後で、自治体によって金額が異なります。

申請ができるのは喪主など「葬儀を行った人」です。亡くなった人の住民票がある市区町村役場の窓口で手続きをすることで給付を受けられます。申請期限は「葬儀の翌日から2年以内」となっていて、埋葬料とは申請期限が異なりますので注意が必要です。

葬式の費用を分割払いにする

葬儀ではさまざまな事柄を進めることに精一杯で、なかなか費用の支払い方法まで考える余裕がないかもしれません。ですが、現在では多くの葬儀社では支払い方法が選べるようになっているので、その中から「分割払い」を選ぶことを考えてみましょう。

分割払いにすることで、一時的にかかる大きな負担を分散させられるのです。分割払いには大きく分けて2つの方法があるので、見てみましょう。

葬儀ローン

1つ目は「ローン」です。以下のような種類があります。

  • 葬儀会社が信販会社と提携しているもの

信販会社独自のクレジットローンを利用し、最大84回払いにまでできるものもあります。

保証人は原則不要で、最短1時間~1日の審査で利用が可能です。

  • 銀行でローンを組むもの

葬儀に特化しているものではありませんが、多目的ローンやカードローンなどがあります。

保証会社の利用を前提に保証人不要としているものがほとんどで、審査には1~2週間かかることが多いようです。

  • ろうきんや信金のローン

多目的ローンやメモリアルローンなどを利用でき、信販会社や銀行よりも金利が低めであることが魅力です。保証人は原則不要で、審査は3日~1週間前後となっています。

クレジットカード

2つ目は「クレジットカード決済」です。一度に現金を準備するのが難しい場合には、クレジットカードの利用を検討してみましょう。クレジットカード払いであれば、慌ただしい葬儀の中で手続きに出向く必要もなく、審査もないので手軽です。

ただし、クレジットカードには利用限度額が設定されています。もしも全額の支払いが無理な場合は、花代や果物代、飲食代や葬儀用小物の代金などで支払いを分けて、限度額の範囲でカード払いにするという方法もあります。

注意すべき点としては、ローンやカードの分割払いには利息や手数料が発生するので、利用する際にはトータルの支払い額を確認し、無理なく返済できるか検討が必要です。また、葬儀社によっては、ローンやクレジット決済に対応していないこともあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

故人の保険や預金を活用する

故人に財産がある場合や、生命保険などの保険金が見込まれる場合には、そうしたお金を葬儀費用に充てることも考えられます。

ただし、故人の預貯金や保険金は相続の対象となるので、これらのお金を使えるのは相続手続きが完了してからです。そのため、それまでは遺族が葬儀費用を立て替えて支払っておく必要があります。

また、この場合、通夜や葬儀に欠かせない費用や読経料、火葬や埋葬の費用は相続財産から支払えますが、香典返しやお墓の購入費、法事の費用は相続財産から支払うものとして法的には認められていないので注意してください。

葬儀保険に加入しておく

葬儀費用の一部を補うための「葬儀保険」というものもあります。これは、死亡時の保険金が300万円までと少額で、保険期間は1年とされている「少額短期保険」の一種です。葬儀保険は一般的に、厳しい書類審査や医師の診断を必要とせず、月々の保険料も1,000~2,000円前後で済むため、比較的入りやすい保険となっています。

ただし、葬儀保険の適用は契約月から翌々月以降になることが多かったり、保険会社が破綻すると保証が受けられくなったりと、一般の保険とは異なる部分があるので、契約内容を慎重に検討してから加入するようにしましょう。

葬式の規模を小さくするのも手段の一つ

冒頭の費用相場でも紹介したように、「飲食費」「返礼品」「斎場利用料」「祭壇」などは葬儀の規模によって変動するものです。参列者を少なくして葬儀の規模を小さくすれば、それらの費用を抑えることが期待できます。

ここでは、そのように費用を抑えるための手段として、規模を小さくしたり内容をよりシンプルにしたりできるお葬式を紹介しましょう。

一日葬

一日葬は、通夜と通夜振る舞いを省き、葬儀・告別式と火葬を「一日で」行うものです。通夜を省くことで通夜の参列者に振る舞う食事や返礼品の費用を削減できます。

また、一日葬では時間的にあまり多くの参列者に対応できないため、必然的に参列者の数を限定的にするのです。葬儀の参列者に振る舞う食事や返礼品の数が減らせることからも、費用の削減が見込めます。

家族葬

家族葬は、家族を中心とした親しい人に「参列者を限定して」行うお葬式です。そのため、一般葬よりも規模が小さくコンパクトなお葬式になります。参列者の人数は30人以内であることが多いため、参列者に振る舞う食事や返礼品の費用を抑えられるのです。

なお、家族葬の場合は一般葬と同様の「二日葬」で行う場合と、通夜を省いた「一日葬」で行う場合とでは、費用が変わってきます。

直葬

直葬(ちょくそう)は、通夜や告別式を行わず「火葬だけを行う」もっともシンプルなお葬式です。通夜と通夜振る舞い、告別式や精進落としなどを省くことで、祭壇や会場費など葬儀にかかる多くの費用を削減できます。

参列者はごく近しい間柄の遺族や親族のみで、数人から多くても10人ほどになるので、食事代や返礼品の費用も大幅にカットできるのです。

また、住民票を置いている自治体内で火葬をする場合には、火葬代が免除になるところもあるので、その場合には葬儀の費用がほぼかからないことになります。火葬代の免除があるかどうかは市区町村の福祉課に問い合わせてみると良いでしょう。

市民葬・区民葬

市民葬・区民葬は、故人または喪主が居住している自治体で「提携している指定葬儀会社を利用」して葬儀を行うものです。市民葬・区民葬の一般的な費用相場は、通夜、告別式などを行った場合が約50万円ほど、直葬の場合は約20万円前後になるとされています。

ただし、基本料金に含まれる内容は必要最低限の簡素なものであることがほとんどです。基本料金は割安ですが、それにオプションを追加していくと逆に費用が高くついてしまうこともあるという点には注意が必要です。

規模の小さい葬儀に対応可能な葬儀社をまとめて比較

ここからは、規模の小さい葬儀に対応可能な葬儀社8社をご紹介していきます。近年、お葬式は小規模なものが選ばれるようになっているため、葬儀社各社でもそのような要望に沿ったプランがいくつも用意されています。

各プランの料金やサービス、対応する支払い方法を表にしているので、費用負担の軽減が期待できるお葬式を選ぶための参考にしてください。

小さなお葬式

引用:小さなお葬式公式サイト

対応可能な葬儀の種類 一般葬

家族葬

一日葬

火葬のみ

直葬(仏具なし)

料金プラン 小さな一般葬:599,000円(税抜)

小さな家族葬:399,000円(税抜)

小さな一日葬:299,000円(税抜)

小さな火葬式:159,000円(税抜)

小さなお別れ葬:89,000円(税抜)

 

「小さなお葬式」は、小規模なお葬式に特化した葬儀仲介会社です。基本プランに含まれるものは必要最低限となっているため、オプションを追加していくと追加費用がかかります。

東京葬儀

引用:東京葬儀公式サイト

対応可能な葬儀の種類 一般葬

家族葬

一日葬

自宅葬(葬儀場ではなく、自宅で告別式を行う)

火葬のみ

直葬(仏具なし)

料金プラン 基本プラン:198,000円

仏式セット:198,000円~

花祭壇:128,000円~

オプション:55,000円~

「東京葬儀」は、東京を中心としたエリアに対応している葬儀専門会社です。料金はあらかじめ最大でかかる金額を提示してくれるため、追加料金の心配がありません。

よりそうお葬式

引用:よりそうお葬式公式サイト

対応可能な葬儀の種類 家族葬(ゆったり二日プラン、二日プラン)

一日葬

火葬のみ(自宅安置プラン、面会プラン、シンプルプラン)

料金プラン よりそう家族葬:華やか二日プラン:499,000円(税抜)

        二日プラン:369,000円(税抜)

        一日プラン:270,000円(税抜)

よりそう火葬式:自宅安置プラン:135,000円(税抜)

        面会プラン:135,000円(税抜)

「よりそうお葬式」は、必要最低限の小規模葬儀に特化している葬儀仲介会社です。事前の資料請求や会員制度で費用の割引が期待できます。

やさしいお葬式

引用:やさしいお葬式公式サイト

対応可能な葬儀の種類 一般葬

家族葬

一日葬

火葬

直葬(仏具なし)

料金プラン やさしい一般葬:599,000円(税抜)

やさしい家族葬:399,000円(税抜)

やさしい一日葬:299,000円(税抜)

やさしい火葬式葬:159,000円(税抜)

小さなお別れ葬:89,000円(税抜)

「やさしいお葬式」は、全国対応でシンプルな葬儀に対応している葬儀仲介会社です。基本料金は低価格ですが、地域の事情や火葬場の空き状況、オプションの追加などによって費用が上乗せされることがあります。

イオンのお葬式

引用:イオンのお葬式公式サイト

対応可能な葬儀の種類 一般葬

家族葬

一日葬

火葬

シンプル火葬(東京都・神奈川・埼玉・千葉)

直葬

料金プラン イオンライフの一般葬:655,000円(税抜)

イオンライフの家族葬:460,000円(税抜)

イオンライフの一日葬:325,000円(税抜)

イオンライフのシンプル火葬プラン:90,000円~(税抜)

イオンライフの直葬プラン:134,000円~(税抜)

「イオンのお葬式」は、流通大手イオンの子会社が運営している葬儀仲介会社です。パッケージ化されたプランで直葬、一日葬、家族葬にも対応していますが、価格は最安値とはいえないのが現状です。

日比谷花壇のお葬式

引用:日比谷花壇のお葬式公式サイト

対応可能な葬儀の種類 一般葬

家族葬

一日葬

自宅葬

直葬(火葬のみ)

料金プラン 一般葬:1,430,000円~(税込)

家族葬:770,000円~(税込)

一日葬:770,000円~(税込)

直葬:297,000円~(税込)

自宅葬:770,000円~(税込)

お別れの会:1,490,000円~(税込)

「日比谷花壇のお葬式」は、「日比谷花壇」が葬儀事業を行っています。小規模なお葬式にも対応していますが、サービスや取り扱っている商品が高品質で、その分費用も高くなりますので、費用を抑えたいという人には向いていないでしょう。

葬儀会館ティア

引用:葬儀会館ティア公式サイト

対応可能な葬儀の種類 一般葬

家族葬

一日葬

料金プラン 白木30一日葬限定セットプラン:297,000円~(税込)

白木50セットプラン:495,000円~(税込)  など

「葬儀会館ティア」は、愛知・岐阜・三重を中心に、大阪や関東エリアでも展開している葬儀専門会社です。火葬式や家族葬などの小規模なセットプランがあり、会員になることで割引価格が適応されます。

雅葬会

対応可能な葬儀の種類 一般葬

家族葬

一日葬

火葬・直葬

料金プラン 一般葬:620,000円~

家族葬:380,000円~

一日葬:280,000円~

直葬・火葬式:130,000円~

「雅葬会」は、高品質・低価格をモットーに、小規模な家族葬を得意としている葬儀専門会社です。見積もりには一つ一つの項目をすべて記載し総額を提示してくれるので、追加料金の心配がなく安心です。

葬儀のお悩みは「雅葬会」へご相談ください

今回は「お葬式の費用についての対処法」を解説しました。費用が心配な場合には、公的扶助制度を活用したり、葬儀の規模を小さくしたりといった方策があります。また、分割払いを利用すれば一時的にかかる大きな負担を分散させられるので、支払い方法を工夫してみましょう。

雅葬会は、一級葬祭ディレクターが親身になって最適な葬儀を提案しております。費用に関するお悩みがある場合には、ぜひ相談してみてください。福祉葬のご相談も受け付けております。

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