真言宗の葬儀とは?流れ・独自の作法やマナーをご紹介

 

真言宗とは?基本情報

真言宗の教えは、教義や儀礼が一般に公開され、経典や書物などに教義が記されるなど開かれた教えの「顕教(けんぎょう)」ではなく、師から弟子への口伝によってのみ伝授されていく「密教」にあたり、門外の方々へは伏せられた教えです。

密教の「密」と言う字が示すとおり、秘密の教えということです。

真言宗は京都東寺を根本道場としたことから「東密」とも呼ばれています。経典の内容も真言であり、煩悩や執着が一切ない、真理で語る言葉を大切にしています。

 

ご本尊は”万物全てに存在する”とされている「大日如来」で、「密厳浄土(みつごんじょうど)」という世界に大日如来がいるとされています。

  

真言宗の歴史

真言宗は中国での仏教の一派でした。

当時は命がけの旅であった中国へ渡り、修行を重ね伝授された、平安時代の高僧「空海(くうかい)」によって、日本に伝えられた密教です。

空海は「弘法大師(こうぼうだいし)」とも呼ばれています。

密教が、京都の神護寺や東寺などを中心に広まる過程でできたのが、真言宗です。

真言宗には、18の本山と宗派があり、弘法大師空海が宗派の大師さまとなっています。

真言宗が開かれた時代は平安時代(9世紀)です。

 

真言宗の特徴

 真言宗は、修行・祈祷により自力本願で即身成仏を目指す宗派です。

修行・加持(かじ)・祈祷(きとう)を通じ、全ての事柄の源である大日如来(だいにちにょらい)の存在を感じ、大日如来と一体となることで仏になることを目指す考え方です。

 

自力本願とは、お釈迦様などに身をゆだねる(他力本願)のではなく、あくまで自分自身の修行や経験などを通じて悟りを開き、仏になるということです。

葬儀でもこの考え方がもとに進められていきます。

 

 真言宗の葬儀の流れをご紹介

観念の内容が他の宗派と違う真言宗は、葬儀の流れにも特徴があります。

真言宗の葬儀に参列する前に、基本的な内容を理解しておきましょう。

お通夜の翌日に、葬儀と告別式・火葬を行うことが一般的です。

ただし、真言宗は高野山真言宗、真言宗智山派、真言宗豊山派などいくつかに分派しており、基本的な考えは同じでも、分派先によって儀式の流れや作法が異なることもあります。

 

また地域や寺院によっても内容が変わることがあり、たとえば葬儀・告別式の前に火葬が行われるケースもあります。

下記はあくまで一例としてご紹介致します。

 

 納棺式と通夜の流れ

宗教は問わず、医師によって故人の死亡が確認された後は、役所等に火葬許可証の発行をしてもらいましょう。

真言宗では、通夜の前に僧侶が枕経をあげます。

真言宗の枕経としては「般若理趣経(はんにゃりしゅきょう)→慈救呪(じくじゅ)→陀羅尼(だらに)→光明真言→御宝号(ごほうごう)」の順で唱えることが多いです。

 

納棺式では土砂加持がおこなわれ、遺体が棺に納められます。そのあと通夜が始まり、遺族や参列者が故人を偲ぶ時間を過ごします。このとき、通夜振舞いと言って、お酒や料理をふるまいます。

 

 葬儀の流れ

真言宗の葬儀の流れを時系列で解説いたします。

 

 1.入場

僧侶(導師、式衆)が葬儀会場へ入場しますので、司会者の指示がある場合は指示に従い、場合によっては一同立ち上がって、一礼しましょう。

 

入場したら、最初の儀式として、塗香(ずこう)を行います。

塗香とは、けがれを取り除くために、故人の身体に香を塗る作法です。

遺体に触れることになるので、驚かないように、心構えをしておきましょう。

 

 2.三密観、護身法、加持香水

三密観(さんみつかん):即身成仏させるための儀式です。

「吽(うん)」の字を身・口・意におき、五鈷金剛杵(ごここんごうしょ)を観じます。

「吽」とは、口を閉じて出す声のことで、「阿」は口に出す声を指します。

僧侶が声を発しなくても、作法が進んでいることを、理解しておきましょう。

 

護身法(ごしんぼう):5つの印を結び、真言を唱え、心身を強固にする儀式です。

 

加持香水(かじこうすい)の法:祈りによって浄化した香水を故人へかける作法です。

煩悩やけがれを取り除きます。

 

 3.三礼

仏法僧への帰依を表すため、周礼・儀礼・礼記を唱えます。

身・口(く)・意の三業に敬意を表わして、三たびひざまずいて礼拝することを簡略化したものです。

 

三礼(さんらい)の由来は、儒教における礼に関わる三種類の経書『周礼』『儀礼』『礼記』の総称です。

中国・後漢の学者である鄭玄(じょうげん)が『周礼』『儀礼』『礼記』の三書を総合的に解釈する三礼の学を作り上げて以来、この名があります。

 

 4.表白・神分

表白(ひょうびゃく):故人が浄土へ往生するよう、大日如来へ祈りを捧げます。

大日如来や仏様へ、故人の死や葬儀の趣旨に関する報告となります。

 

神分(じんぶん):大日如来などの降臨に感謝し、加護を願い、故人の滅罪を願います。

諸神に法施を行なう儀式で、その地の大小の神祇、また、特に尊崇する神祇に擁護を請い、般若心経などを読誦することです。

 

 5.剃髪・授戒

剃髪(ていはつ):仏門へ入る儀式です。

偈文(げもん)を唱えながら、カミソリで故人の髪をそります。

そるフリだけをする場合もあります。

 

授戒(じゅかい):故人へ戒名を授けます。

故人が大日如来の弟子として帰依する誓いになります。

「願わくは この功徳を以(も)って 普(あまね)く一切に及ぼし 我等と衆生(しゅじょう)と 皆共(みなとも)に仏道を成(じょう)ぜん」という意味合いを、僧侶が漢字読みで唱えます。

 

 6.引導、破地獄

引導の作法:再び表白と神分を行います。

不動灌頂(ふどうかんじょう)・弥勒三種(みろくさんしゅ)の印明(手に印契(いんげい)を結ぶことと、口に真言をとなえること)を授けることで、故人の即身成仏がなされます。

 

破地獄(はじごく)の作法

破地獄の真言を与え、故人の心にある地獄を取り除き、金剛杵という法具を授ける儀式です。

近年は、こちらの儀式は省略されることが多くなっています。

 

 7.焼香、諷誦文

僧侶が諷誦文(ふじゅもん:死者の追善供養のために、三宝衆僧に布施する意や、施物のこと・その趣旨などを記して捧げる文章で、僧が代わって読むもの)を唱え、焼香を行います。

真言宗での焼香は3回です。

香を親指・人差し指・中指の3本でつまみ、ひたいに押し頂いて、火にくべることを3回繰り返します。

時間の関係で、焼香を1回にするよう指示されることもあります。

 

 8.出棺

棺に花を入れ、遺族や参列者が故人とのお別れをします。

故人が好きだったものや、燃えるお供え物などを入れることも可能です。

僧侶が導師最極秘印という印を結び、3回指を鳴らしたあとに出棺します。

斎場によっては、故人が好きだった音楽を、流してくれることもあります。

出棺の際は、親族・参列男性が棺を抱え、霊柩車(れいきゅうしゃ)に乗せることが多いようです。

霊柩車がクラクションを長く鳴らし、火葬場へと出発します。

霊柩車に1名乗れる場合は、喪主・配偶者などが乗るといいでしょう。

 

 真言宗の葬儀の参列マナー

ここからは、真言宗の葬儀に参列する際の、マナーや作法を詳しく解説していきます。

焼香の仕方や数珠の使い方、香典の包み方も参考にしてください。

葬儀参列時の服装については、一般的な仏式葬儀に出席する際と同じです。

具体的に述べると、喪服で黒い靴・靴下・ネクタイ、できればバッグも黒が望ましいです。

派手なメイクやジュエリーは避け、唯一真珠だけは「涙」を表すので、身に着けて良いでしょう。 

焼香の方法

前述の通り、真言宗では、3回焼香を行うのが一般的とされています。

時間が許されるなら、落ち着いて下記の手順で、故人の冥福を祈りましょう。

ただし、参列者多数の場合などは時間の都合で、1回にしてくださいと指示される場合もあります。

 

焼香の手順

1.祭壇の前で僧侶へ一礼し、遺族に一礼。

2.焼香台の前で合掌し、一礼。

3.右手の親指、人差し指、中指で抹香をつまみ、額にいただき、香炉にくべる。

4.3の動作を3回繰り返す。

5.合掌

6.僧侶、遺族へ一礼。

 

焼香の順番は、故人の近親者から親族・友人・知人と、故人とのおつきあいが近かった順に行います。

 

 数珠の使い方

真言宗では、108個の主玉(おもだま)が連なった、本連の振分数珠(ふりわけじゅず)を使います。

男女で形状は同じですが、一般的に男性用の数珠の方が大きい玉が使われています。

数珠は親玉が上になるよう二重にし、左手にかけて房を握るのが基本です。

合掌では房が手の甲へと垂れるよう、両手の中指に数珠をかけたまま手を合わせます。

ただ、同じ真言宗でも流派によって使い方が異なることもあるので、都度確認しておくと安心です。

遺族は振分数珠を使用するほうがよいですが、参列者は、宗派共通で使える略式数珠でも問題ないケースが多いです。

 

 香典の包み方

通夜、葬儀、初七日法要など四十九日法要までは、香典袋の表書きには、筆ペンなどの薄墨で「御霊前」または、「御香典」と記載します。

お札は裏向きにして中袋に入れ、4や9などの数字の金額を包むのは避けます。

喪主があとで香典返しをすることを考慮し、中袋には、住所・氏名・金額を裏書きしましょう。

 

四十九日法要以降は「御香典」か「御仏前」を表書きとして使用します。

四十九日法要の当日は「御仏前」を用いることが一般的ですが、地域により「御霊前」を使うこともありますので事前に確認をしておいた方が無難です。

 

 

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ここまで、真言宗の葬儀について詳しく解説しました。

真言宗の葬儀は、「密厳浄土(みつごんじょうど)」や「灌頂(かんじょう)」など特徴的な儀式があるということが理解いただけたかと思います。

葬儀を出す立場になっても、参列する立場になっても、行われる儀式の意味合いが解ると、その場に臨む際の気持ちも変わってくるでしょう。

初めての形式の葬儀に不安や心配事があったら、信頼できる葬儀社に相談することをおすすめします。

「雅葬会」なら、葬祭ディレクターの資格を保有する優秀なスタッフが親身になって対応いたします。24時間365日ご相談を受け付けておりますので、葬儀の困りごとなら雅葬会にご相談ください。

 

 

 

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